大阪地方裁判所 昭和35年(わ)2480号 判決 1968年9月28日
一、本店所在地
大阪市都島区東野田町七丁目一七一番地
名称
日東興業株式会社
代表者氏名
東雲健
代表者住居
大阪府吹田市千里山西四丁目五ノ一四
二、本店所在地
大阪市都島区東野田町一丁目九一番地
名称
大東興業株式会社
代表者氏名
東雲健
代表者住居
大阪府吹田市千里山西四丁目五―一四
三、本店所在地
大阪市北区真砂町六一番地
名称
株式会社中之島ホテル
代表者氏名
乾秀子
代表者住居
大阪市都島区東野田町七丁目七〇番地
四、本店所在地
大阪市都島区東野田町一丁目七一番地
名称
城東企業株式会社
代表者氏名
東雲芳三郎
代表者住居
大阪市都島区都島南通五丁目一〇六番地
五、本店所在地
大阪市都島区網島町一六番地
名称
株式会社新銀橋ホテル
代表者氏名
東雲きゑぬ
代表者代居
大阪市都島区都島南通五丁目一〇六番地
六、本籍
大阪市都島区東野田町七丁目一七一番地
代居
大阪府吹田市千里山西四丁目五―一四
職業
会社役員
氏名
東雲健
年令
大正一四年一二月二二日生
右被告人らに対する法人税法違反各被告事件について、当栽判所は、検察官検事豊島時夫出席の上審理を遂げ、次のとおり判決する。
主文
被告人日東興業株式会社を
判示第一(1)の事実につき罰金二五〇万円に
判示第一(2)の事実につき罰金三五〇万円に
被告人大東与業株式会社を
判示第二(1)の事実につき罰金二五〇万円に
判示第二(2)の事実につき罰金二〇〇万円に
判示第二(3)(4)の事実につき罰金一五〇万円に
被告人株式会社中之島ホテルを罰金二〇万円に
被告人城東企業株式会社を罰金四〇〇万円に
被告人株式会社新銀橋ホテルを罰金三〇〇万円に
被告人東雲健を懲役年六月に
処する。
ただし、被告人東雲健に対し本栽判確定の日から三年間右刑の執行を猶予する。
訴訟費用は全部被告人日東興業株式会社、同大東興業株式会社、同東雲健の連帯負担とする。
理由
(罪となるべき事実)
被告人日東株式会社は大阪市都島区東野田町七丁目一六一番地に本店を置き、パチンコ、マージヤンの遊技場を営むもの、被告人大東興業株式会社は同市同区同町一丁目九一番地に、被告人株式会社中之島ホテルは同市北区真砂町六一番地に、被告人城東企業株式会社は同市都島区野田町一丁目七一番地に、被告人株式会社新銀橋ホテルは同市同区網島町一六番地に、各本店を置き、いずれもホテル、旅館業を営むもの、被告人東雲健は右日東興業株式会社、大東興業株式会社の代表取締役、右株式会社中之島ホテルの取締役、右城東企業株式会社および株式会社新銀橋ホテルの従業社として、各その営業経理一切の業務を総括掌理しているものであるが、被告人東雲健は右各会社の各業務に関し、法人税を免れようと企て、
第一、被告人東興株式会社の
(1) 昭和三一年六月一日から同三二年五月三一日までの事業年度において所得金額が二二三一万六八九六円、これに対する法人税額が八八七万六七二〇円であるのにかかわらず、公表経理上売上収入金の一部を除外する不正行為により、右所得金額中一九七七万三四三五円を秘匿した上、昭和三二年七月三一年大阪市旭税務署において同署長に対し、右事業年度分の所得金額が二五四万三四六一円、これに対する法人税額が九六万七三六〇円である旨過少に虚偽記載した法人税確定申告書を提出し、もつて同年度分の法人税七九〇九三六〇円を免れ
(2) 昭和三二年六月一日から同三二年五月三一日までの事業年度において所得金額が三〇八八万四八一五円、これに対する法人税額が一一六三万六二二〇円であるのにかかわらず、前同様の不正行為により、右所得金額中二七八八万三〇七三円を秘匿した上、昭和三三年七月三一日前記旭税務署において、同署長に対し、右事業年度分の所得金額が三〇〇万一七四二円、これに対する法人税額が一〇四万五四〇円である旨過少に虚偽記載した法人税確定申告書を提出し、もつて同年度分の法人税一〇五九万五五八〇円を免れ
第二、被告人大東興業株式会社の
(1) 昭和三一年九月一日から同年三一年八月三一日までの事業年度において所得金額が二〇五三万四〇二五円、これに対する法人税額が八一六万三六〇〇円であるにかかわらず、前同様の不正行為により、右所得金額中一七九九万三六六六円を秘匿した上、昭和三二年一〇月三一日、前記旭税務署において、同署長に対し、右事業年度分の所得金額が二五四万三五九円、これに対する法人税額が九六万六一二〇円でるあ旨過少に虚偽記載した法人税確定申告書を提出し、もつて同年度分の法人税七一九万七四八〇を免れ
(2) 昭和三二年九月一日から同三三年八月三一日までの事業年度において、所得金額が二〇四四万七八七三円、これに対する法人税額が七六七万一六〇円であるのにかかわらず、前同様の不正行為により、右所得金額中一六七五万四四六二円を秘匿した上、昭和三三年一〇月三一日前記旭税務署において、同署長に対し、右事業年度分の所得金額が三七九万三四一一円、これに対する法人税額が一三〇万三四九〇である旨過少に虚偽記載した法人税確定申告書を提出し、もつて、同年度分の法人税六三六万六六七〇円を免れ
(3) 昭和三七年九月一日から同三八年八月三一日までの事業年度において、所得金額が一五七四万七八〇五円、これに対する法人税額が五八六万八七三〇円であるのにかかわらず、前同様の不正行為により、右所得金額中八八七万五七六七円を秘匿した上、昭和三八年一〇三一日前記旭税務署において、同署長に対し、右事業年度分の所得金額が六八七万二〇三八円、これに対する法人税額が二四九万五九二〇円である旨過少に虚偽記載して法人税確定申告書を提出し、もつて同年度分の法人税三三七万二八一〇円を免れ
(4) 昭和三八年九月一日から同年三九年八月三一日までの事業年度において金額金額が七一八万一二八五円、これに対する法人税額が二五三万九二三〇円であるのにかかわらず、前同様の不正行為により、右所得金額中三一四万九四三五円を秘匿した上、昭和三九年一〇月三一日前記旭税務署において、同署長に対し、右事業年度分の所得金額が四〇三万一八五〇円、これに対する法人税額が一三四万二四六〇円である旨過少に虚偽記載確定申告書を提出し、もつて同年度分の法人税一一九万六七七円を免れ
第三、被告人株式会社中之島ホテルの昭和三八年五月一日から同三九年四月三〇日までの事業年度において、所得金額が一一八七万六九九円、これに対する法人税額が四三五万八一〇〇円であるのにかかわらず、前同様の不正行為により右所得金額中一二六万七六〇七円を秘匿した上、昭和三九年六月三〇日、大阪市北区北税務署において、同署長に対し、右事業年度分の所得金額が一〇六〇万三〇九二円、これに対する法人税額が三八七万六四二〇円である旨過少虚偽記載した法人税確定申告書を提出し、もつて同年度分の法人税四八万一六八〇円を免れ
第四、被告人城東企業株式会社の
(1) 昭和三八年三月一日から同三九年二月二九日までの事業年度において、所得金額が二七一〇万四九六四円、これに対する法人税額が一〇一九万八一九〇円であるのにかかわらず、前同様の不正行為により、右所得金額中一七二七万三四四一円を秘匿した上、昭和三九年四月三〇日同市旭区旭税務署において、同署長に対し、右事業年度分の所得金額が九八三万一五二三円、これに対する法人税額が三六三万四三〇〇円である旨過少虚偽記載した法人税確定申告書を提出し、もつて同年度分の法人税六五六万三八九〇円を免れ
(2) 昭和三九年三月一日から同四〇年二月二八日までの事業年度において、所得金額が二四三六万五七三円、これに対する法人税額が九〇〇万六八一〇円であるのにかかわらず、前同様の不正行為により、右所得金額中一七五九万二五六八円を秘匿した上、昭和四〇年四月三〇日前記旭税務署において、同署長に対し、右事業年度分の所得金額が六七六万八〇〇五円、これに対する法人税額が二二九万一五四〇円である旨過少に虚偽記載した法人税確定申告書を提出し、もって同年度分の法人税六七一万五二七〇円を免れ
第五、被告人株式会社新銀橋ホテルの
(1) 昭和三八年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度において所得金額が二一二七万八三五〇円、これに対する法人税額が七九八万一七〇円であるのにかかわらず、前同様の不正行為により、右所得金額中一四九四万四七〇円を秘匿した上、昭和三九年二月二八日前記旭税署において、同署長に対し、右事業年度分の所得金額が六三三万七八八〇円、これに対する法人税額が二三〇万二七八〇円である旨過少に虚偽記載した法人税確定申告書を提出し、もつて同年度分の法人税五六七万七三九〇円を免れ
(2) 昭和三九年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度において、所得金額が一六六〇万六〇四七円、これに対する法人税額が六〇四万五九三〇円であるのにかかわらず、前同様の不正行為により、右所得金額中九三四万五一七一円を秘匿した上、昭和四〇年三月一日前記旭税務署において、同署長に対し、右事業年度分の所得金額が七二六万八七六円、これに対する法人税額が二四九万七〇二〇円である旨過少に虚偽記載した法人税確定申告書を提出し、もつて同年度分の法人税三五四万八九一〇円を免れ
たものである。
(証拠の標目)
判示全部の事実につき
一、被告人東雲健の当公判廷(第二七回)における供述
一、昭和四一年わ第四五二二号事件第一回公判調書中被告人東雲健および各被告人会社代表者の各供述記載
一、被告人東雲健の検察官に対する供述調書八通
一、収税官吏作成の同被告人に対する質問てん末書一四通
一、各被告人会社の各登記簿謄本
判示第一、第二(1)(2)の各事実につき
一、第二〇回、第二一回各公判調書証人四元薫の各供述記載
一、第一九回公判調書中証人藤井茂也(証拠排除決定部分を除く)、同岡本慶次郎、同上田幸光の各供述記載
一、第一八回公判調書中証人堀田重造の供述記載
一、上田隆章、平田梅吉、中谷絹代、岡本慶次郎、倉村三郎、沢谷弘、高宮実、畑中直子(二通)、渡辺捨男、斎藤栄三、家原ハツの検察官に対する各供述調書
一、収税官吏作成の上田隆章(三通)、平田梅吉、堀田重造(二通)、中谷絹代、沢谷弘、高宮実(二通)、八木常次(二通)、松浦重夫(二通)、近藤タツ、畑中直子、平田清太郎、渡辺捨男に対する各質問てん末書
一、上田隆章作成の確認書
一、平尾司法書士事件簿写
一、渡辺一男作成の回答書
一、天川電機株式会社の売掛元帳写
一、不二電化工業株式会社作成の明細書
一、菅原茂美作成の証明書四通(各被告人会社の確定申告書写)
一、四元薫作成の修正決算書四通、(各被告人会社につき二通ずつ)
一、押収にかかる総勘定元帳五冊(昭和四〇年押第二九四号の八、一四、二一、二五、二六)、の金銭出納帳一冊(同号の一一)、請求書綴二冊(同号の二〇の一、二)、銀行帳二冊(同号の二二、三〇)、家計簿(建築入金メモ)一冊(同号の四二)、銀行調査書類二冊(同号の四三の一、二)
判示第一の各事実につき
一、中村久雄、三沢四郎、山川祚郎の検察官に対する各供述調書
一、収税官吏作成の二沢四郎、山川祚郎に対する各質問てん末書
一、中村久雄、増田種徳、茂司法書士、南信隆各作成の各回答書
一、押収にかかる総勘定元帳四冊(昭和四〇年押第二九四号の七、一二、二四、三一)、金銭出納帳四冊(同号の九、一〇、一六、二八)、銀行帳一冊(同号の二九)、領収書一二冊(同号の一九の一ないし四、二三の一ないし三、三二の一ないし五)、マージヤン収支表二枚(同号の三三)、メモ九枚(同号の三四)、堀田関係書類七通(同号の三六)、メモ帳二冊(同号の三七の一、二)、マージヤン収支表六冊(同号の三八の一ないし六)、印鑑五個(同号の三九)、貯金証書袋一袋(同号の四〇)、ノート七冊(同号の四一の一ないし七)
判示第二(1)(2)の各事実につき
一、坂上登(昭和三五年七月一六日附)、深尾俊英(同年七月七日附)、河野誠之助、河野治子、芥川勇、山路季一(昭和三五年七月一二日附)の検察官に対する各供述書
一、収税官吏の浅井四郎(二通)、渡辺貞雄、坂上登、芥川勇、細井忠春、深尾俊英、河野誠之助、河野治子、島岡正弘、大富美代子に対する各質問てん末書
一、岩田辰太郎作成の上申書、同追加書
一、水田定一郎の現予金有価証券等現在高検査てん末書
一、押収にかかる売上帳四冊(昭和四〇年押第二九四号の一の一、二、同号の三、四)、売上明細表三通(同号の二)、売上メモノート一冊(同号の五)、伝票一冊(同号の六)、総勘定元帳(同号の一三、一五)、金銭出納帳二冊(同号の一七、二七)、銀行帳一冊(同号の一八)、堀田工業見積書一冊(同号の三五)
判示第二(3)(4)、第三ないし第五の各事実につき
一、昭和四一年わ第四五二二号事件第三回公判調書中証人山跡孝一の供述記載
一、山路季一の検察官に対する供述調書六通(昭和四一年五月二四日附、同月二五日附、同月二八日附、同月三〇日附、同月三一日附、同年六月三日附)
一、東雲芳三郎、東雲多喜子、庄司章、深尾俊英(昭和四一年五月二五日附)、高崎春夫(二通)、上田博子、前田みすえ、吉岡かね子、坂上登(同年五月三一日附)の検察官に対する各供述調書
一、山路季一作成の各ホテル別売上除外割合表
一、普通預金出入帳写(山路季一の昭和四一年五月三〇日附供述調書に添附してあつたもの)
一、橋本福男作成の報告書
一、橋本福男、守山光平、木内利幸作成の調査てん末書
一、各被告人会社の法人税決議書写
一、押収にかかる各被告人会社の確定申告書写(昭和四二年押第七一四号の一ないし七)、総勘定元帳七冊(同号の八ないし一四)
(法令の適用)
法律に照すと、被告人東雲健の判示所為中判示第一(1)(2)、第二(1)(2)の所為はいずれも昭和四〇年法律第三四号附則一九条、同三七年法律第六七号附則一八条、同年法律第四五号附則一一項、同法による改正前の法人税法四八条一項に、その余の所為はいずれも昭和四〇年法律第三四号附則一九条、同法による改正前の法人税法四八条一項に各該当するところ、いずれも所定刑中懲役刑を選択し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四七条本文、一〇条により、犯情の最も重い判示第一(2)の罪の刑に法定の加重をした刑期の範園内で同被告人を懲役一年六月に処し、情状により同法二五条一項を適用して本裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予し、被告人日東興業株式会社に対しては、いずれも昭和四〇年法律第三四号附則一九条同三七年法律第六七号附則一八条、同年法律第四五号附則一一項、同法による改正前の法人税法五一条一項、四八条一項、五二条を適用し、各所定罰金額の範園内で、同被告人を判示第一(1)の事実につき罰金二五〇万円に、同(2)の事実につき罰金三五〇万円に処し、被告人大東興業株式会社に対しては、判示第二(1)(2)の事実につき右被告人目東興業に適用したのと同一の法規を適用し、各所定罰金額の範園内で被告人大東興業を判示第二(1)の事実につき罰金二五〇万円に、同(2)の事実につき罰金二〇〇万円に処し、同被告人の判示第二(3)(4)の事実につき、いずれも昭和四〇年法律第三四号附則一九条、同法による改正前の法人税法五一条一項、四八条一項、刑法四八条二項を適用し、所定罰金額の合算額の範囲内で同被告人を判示第二(3)(4)の事実につき罰金一五〇万円に処し、被告人株式会社中之島ホテルに対しては、昭和四〇年法律第三四号附則一九条、同法による改正前の法人税法五一条一項、四八条一項を適用して所定罰金額の範囲内で、同被告人を罰金二〇万円に処し、被告人城東企業株式会社、同株式会社新銀橋ホテルに対しては、いずれも被告人大東興業の判示第二(3)(4)の事実に適用したのと同一の法規を適用し、各所定罰金額の合算額の範囲内で、被告人城東企業を罰金四〇〇万円に、被告人新銀橋ホテルを罰金三〇〇万円に処し、なお訴訟費用は刑事訴訟法一八一条一項、一八二条により全部被告人日東興業、同大東興業、同東雲健の連帯負担とする。
よつて主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 山本久巳 裁判官 武智保之助 裁判官 和田日出光)